今回ご紹介するお話は・・・・
三浦しをんさん作の、「小暮荘物語」です。
三浦しをんさんの作品は、私も好きで、よく読むんです。
三浦しをんさんの作品と言えば、きっとみんさんも思い浮かべるのが、「まほろ駅前シリーズ」ではないでしょうか。
映画化もされているので、これも、本では読んでいないけれど、映画を見たよ・・・って方も多いと思います。
その「まほろ駅前シリーズ」の第一作目である「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞も受賞されている作家さんです。
私も、「まほろ駅前シリーズ」読みましたが、あれも面白かったな。
ま、「まほろ駅前シリーズ」は、また今度ご紹介させていただきますが、機会があれば是非読んでみてくださいね。
映画もDVD化されていますので、もし活字はちょっと・・・・と言う方は、是非映像でお楽しみください。
で・・・・
今回は、この「まほろ駅前シリーズ」ではなくて、「小暮荘物語」っていう作品をご紹介しますね。
短編で読みやすい作品
今回、「まほり駅前シリーズ」が面白いよ・・・・って言いながらも、、その「まほろ駅前シリーズ」ではなくて、この「小暮荘物語」をご紹介するのは、この作品が、短編小説になっているからなんです。
「まほろ駅前シリーズ」は、どれも長編で、活字に慣れていない方には、読むのにかなり気合が必要になるかもしれません。
もちろん、その作品の世界にのめりこめれば、長編小説でも、あっと言う間に読み終えてしまうんですけど。
しかし、この「小暮荘物語」は、短編小説なので、あまり気合を入れなくても読みやすいんですよね。
しかも・・・
一話一話は転変仕上げなんですが、それぞれのお話しが絶妙に絡み合っていて、全部読み終えると、一つの長編小説を読み終えたような充実感も得られる作品になっているんです。
ですから、活字慣れしていない方でも読みやすいし、読んだという満足感もえられるという作品になっていると思います。
様々な人間模様・・・・そして“愛”
この物語は、先にも記した用に、6話の短編小説になっています。
その一話一話に、それぞれ主人公がいますが、その主人公が、この小暮荘で暮らす住人か、関係の深い人なんです。
そして、大家さんを含めた住人や関係者のそれぞれの人間模様が描かれています。
老大家の小暮、女子大生の光子、サラリーマンの神埼、花屋の定員の繭。
人それぞれ、色々な背景を持って生きているんですよね。
でも、それぞれの生き方があり、思いがあり、願いがある中で、一生懸命生きている。
その姿が美しい。
もちろん、ほめられるような人生ばかりを送っている人ばかりではないですが・・・・ね。
築ウン十年のおんぼろ(?)アパート小暮荘。
全6室で、住人は4人(2部屋空室)
こんな狭い世界でも、その暮らしぶりは様々で、それぞれのドラマがあるんですよね。
そして。住人同士が絡み合い、時には離れ、時には寄り添いながら暮らしている。
そんな世界を描いているのがこの作品なんです。
そして・・・・
この作品の求めるところ・・・・それは・・・・「愛」でしょう。
「愛」にも、色々な形があります。
恋人同士の「愛」もあれば、親子の「愛」もあるでしょうし。
友人としての「愛」もあるかもしれない。
ただ見つめているだけの「愛」もあるでしょうし、奪い取るような「愛」ももちろんあると思います。
そのほかにも、その形は千差万別。
いや、きまった形のないのが「愛」なのかもしれません。
そんな「愛」について、この作品は考えさせてくれるようなお話です。
笑いあり、涙あり、怒りあり、挫折あり・・・・
時には優しく、時には厳しく・・・・
時には微笑みあい、時には怒りを爆発させて・・・・
そしてたどり着く、それぞれの「愛」を見つけて行く様が描かれていると感じられます。
コミカルに描かれていて、先に記した「まほろ駅前シリーズ」のようなシリアスで現実的な世界ではなく、どこか空想的であり、ファンタジーにも似た世界観が広がっているんです。
でも・・・・
もしかしたら、こんなアパートが、本当にどこかにあるかもしれないね・・・と思わせてくれるような描写。
三浦しをんさんの世界観の広さに驚かされてばかりです。
もちろん、このような作風が、三浦しをんさんのすべてではありません。
もっとシリアスで現実的な描写力もあり、もっと別の世界観も表現された作品もあります。
しかし、この「小暮荘物語」は、そんな三浦しをんさんの世界に触れるきっかけとしては、とても読みやすくて、入りやすい作品だと思います。
活字があまり得意でないという方にも、是非手にして頂きたい作品です。
ちなみに・・・・
あの小泉今日子さんも、この「木暮荘物語」をよんで、「この物語がとっても好きだ・・・」と、読んだ感想を書かれているそうです。