今回ご紹介させていただく本は、「蜜蜂と遠雷」というお話しです。
恩田陸さんの作品で、幻冬舎文庫から発売されている、上下巻の2冊ものです。
このお話も、映画化(松岡茉優さん、松坂桃季さんなどが出演)されているので、映画を見られた方もたくさんいらっしゃるかともいます。
私も、映画も見ましたが、これは、本の方が、その時々のその人の心理描写がよく表れていて、おもしろかったですよ。
この話は、若きピアニスト達の、あるコンクール通しておこる様々な思いを描いた作品なんです。
音楽が趣味の私に、書店で働く娘が、初めて選んでくれた作品なんです。
それぞれが主人公
このお話しで主人公となるのは・・・・
一人目が、自宅に楽器を持たない16歳の少年。
実は、からがとてつもない才能の持ち主で、自分のピアノを持っていないのに、素晴らしい演奏をするんです。
また、この少年は、楽器を持っていないのに、伝説のピアニストに師事していて・・・
そのピアニストは、めったに弟子をとらないのに、この少年の才能を見つけ、特別な方法で指導していくんですね。
その少年の環境に、周りの人のひがみや妬みがからまり、様々な思いが駆け巡るんです。
そして、二人目が、天才少女として華々しくデビューをしたのに、母の死をきっかけにピアノが弾けなくなり、音楽の世界から遠ざかっていた20才の女性ピアニスト。
このコンクールを通して、母の死と向かい合い、そして乗り越えていく姿。
そして、新たな自分を見つけ、より羽ばたき始めるきっかけとなるんです。
三人目が楽器店勤務のサラリーマンぽアニスト。
コンクール出場は、年齢的にもこれが最後と言われ、自分が特別な才能を持ち合わせていたい事は築いているけれど、それでもこれであきらめて、音楽の世界から離れるしかない現実を受け止めきれず、最後のチャンスと思い応募。
地道な努力の中で、確実に力をつけ、一歩一歩会談を上る姿は、多くの人に感動を与えるのではないでしょうか。
かくいう、私も、特別な斎野は持ち合わせていないのですが、それでも音楽が好きで、プロではなくても、ミュージシャンとしての活動を、これからもしていきたいと思ています。
そんな私へのエールのようにも思えました。
そして、このワラリーマンピアニストが、今クルーをとして、決断した未来とは・・・・。
最後の主人公は、才能あふれる若き天才ピアニスト。
高い技術と音楽性を持ち合わせ、今回のコンクールの最有力候補とうたわれるほどの逸材。
この青年のピアノを始めるきっかけにもドラマがあったんです。
これらの4人の主人公と、彼らが師事する指導者、そして、音楽に関わるたくさんの関係者の様々な思いが、このコンクールを通して描かれているんです。
最高峰のコンクール
このコンクールは、近年、その覇者が音楽界の寵児となる・・・と言われるほど、世界的に注目を集めているコンクールで、若きピアニストの登竜門ともなっているんです。
それだけに、主人公の4人だけでなく、このコンクールに参加したすべてのピアニストが、たくさんの熱い思いを胸に抱えて出場しているのです。
その、それぞれの思いが、この話の随所に現れていて、プロを目指す音楽家の思いが、暑く描かれている作品なんです。
そこが、この作品の素晴らしいところで、主人公が当然メインで描かれているのですが、それを取り巻く出場者や、彼らを指導してきた指導者等の心の動きも描かれているんですよ。
映画だと、こういったところが、やはり時間的な制約などからだとは思いますが、あまり表現されていないので、物足りなさを感じてしまいました。
予選から本線へ
このコンクールは、第一次予選、第二次予選、第三次予選、そして本選と、それぞれに難易度の高い課題が課せられているんです。
それぞれの課題に対する取り組み方、それぞれの表現など、活字ならではの奥の深い描写は、本を読む醍醐味に通じているのではないかと思います。
独創的な表現で、いつも聴衆をおどろかせる16歳の少年。
確かな技術で、確実に聴くものの心をとらえていく若き天才ピアニスト。
譜面を読み、作曲者の思いを考えて考えて考えて・・・思い悩みながらも、自分の表現を探し続けるサラリーマンピアニスト。
そして、母の死を乗り越えることで、新たな表現を手に入れた天才少女ピアニスト。
それぞれが、環境こそ違えど、音楽に対する熱い思いは変わらず、それぞれが、自分のできることを精一杯やりつくし、それぞれの戦いに挑む姿が、目に浮かんできます。
やはり、これだけの感情や思いを表現するには、活字でなければ、伝えきれないでしう。
この本を読み、映画を見て、改めて活字の素晴らしさ・・・・
そして、表現の幅広さを感じさせられました。
映像は映像で面白いのですが、やはり、この話しに関しては、私は本で読んでいただけたらと思います。
是非、音楽に興味のある方は・・・
いえいえ・・・
音楽に、あまり関心のない方でも・・・
上巻と下巻の2冊構成ですので、読みごたえもありますが、はまるとあっという間に話が進んでいきますので、是非お手に取って、本の楽しさ、素晴らしさを体感してくださいね。
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